前回のザルツブルクの住居について書いたときに、次はウィーンの住居について少し書くと予告しましたが、結構経ってしまいました、、、
少しと書いた理由は、夏にウィーンで訪れたとき、時間があまりゆっくり取れなくて、、、というより、想像していたより遥かに上回る充実度で一つ一つじっくり読んでいく時間がなかったのです(次の予定入れてしまっていたため、時間に制限あり。涙)
ウィーンにあるモーツァルトの住居で現存するものは一軒のみで、1784-1787まで住んでいた、Domgasse 5にあります。モーツァルトがコンスタンツェと結婚式を挙げ、お葬儀も執り行われることになるシュテファン寺院に近く、旧市街のど真ん中に位置する立地条件、住居の広さ、そして内装の設え総合的に見て、モーツァルトがこれまで住んだ中で最高のものだったようです。
(ちなみに、モーツァルトが最期を迎えた家は、このDomgass5から徒歩5分ほどのところにあり、今はシュテッフェルというデパートになっています。私もこのデパートでお買い物は数え切れないくらいにしていますが、実はしばらくそこが最期の家とは知らずにいました。)
モーツァルトが家族と住んでいたのは一階(日本の二階)で、現在、二階と三階は資料展示スペースとなっています。やはりピアノ曲の自筆譜は食い入るようにして見てしまいます。(ピアノ協奏曲 ニ短調より)
モーツァルトの楽譜は端正な印象。キレイです。
資料展示以外の住居スペースには、ゲーム好きだったモーツァルトが遊んでいたであろう美しいチェス台や、モーツァルトが生きた時代の様式の家具調度品なども並んでいて、直筆楽譜や手紙とは別に、空間から生活の様子を想像膨らましていくと、まるでそこに小柄なモーツァルトが早足で歩きながらピアノとその周りをいったりきたりしている様子が浮かぶようです。
このお家に住みはじめて翌年、父Leopoldも訪ねてきて滞在し、レオポルド滞在中にハイドンも訪ねてきて、みんなで音楽をして過ごしたりしたそうです。その際、ハイドンから息子のヴォルフガングの才能を褒め称えられたとご満悦で、ナンネルにお手紙でその時の様子を綴っています。
また、1787年にはベートーヴェンも遊びにきたりと、想像するだけでドキドキしてしまいます。
ここでは直筆の手紙、楽譜、絵など、本当に豊富にモーツァルトに関わるものが所狭しと展示されているので、今回を教訓に次回はじっっくり時間を取ってまわりたいと思います。
今日はモーツァルトの作品でちょっと変わり種のものを載せたいと思います。音楽時計または笛時計(Flötenuhr)のための作品です。Flötenuhrとは、オルゴールの先祖のようなもので、18世紀の宮廷サロンで流行しました。バッハ、ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンなどがこの笛時計のために作品を残しています。
W.A.Mozart – Andante in F dur KV616
Mozart Fantasie in f-moll KV594
上記の作品を書くのは、モーツァルトにとってやりがいある仕事ではなかったようですが、借金も膨れ上がりお金に困っていたモーツァルトにとっては貴重な収入源となった。
モーツァルトにとっては退屈な仕事だったようだが、静かな夜に聴くとスーッと沁み入ってくるものがある。一日の最後のおやすみ前に聴きたい作品です。