ピアノ演奏・指導者にとっての調律師さんの存在

今日はピアノ演奏指導する私にとっての調律師さんの存在について書こうと思います。

これは私に限らず、ピアノを所有している方に共通して言えることだと思うのですが、楽器をいい状態に保つためには信頼できる調律師さんの存在なくしては不可能です。

私にはお世話になっている調律師さんがふたりいらっしゃいます。

1人はベーゼンドルファーをウィーンから連れ帰ってきたときに、日本ベーゼンドルファーでお願いすることにしたときに、お世話になっていた方から菊池さんの音は素晴らしいよと教えて頂いて、実際お願いしてみて大満足。コンサート会場でベーゼンドルファーが置いてあって、調律師さんを指名できるときは菊池さんにお願いいたします。日頃からお世話になっている方にお願いできる安心感、菊池さんの創る音に包まれて緊張の中にも安心感を得られる。本番前に調律後のピアノを試して「どこか気になるところはないか?」と探り目線で楽器に触れずに済むことは、本当にありがたいことです。

そして、もう1人お世話になっている方は、ヤマハとカワイのピアノのオーバーホールからお世話になっている荒木さん。

荒木さんとのお出会いはかれこれ10年ほど前に遡るかと思うのですが、当時レッスンしていた生徒さんがスタインウェイのアプライトを中古で買うとのことで、そのピアノを手がけてらっしゃったのが荒木さん。生徒さんの調律に立ち会いお願いされて、その時に荒木さんとはじめまして、そして生徒さん振る舞うランチをご一緒したのでした。

その後は行き来なく、何年も時は経て、もう何十年も眠ったままになっていたKAWAIのピアノについて考えなくてはということを考え始めたときに調律師さんを探し始めました。

そんなときに友人(ベヒシュタイン所有)がお世話になっている調律師さん、そして、これまたその頃教えていた生徒さん(前出の方とは別の人)でスタインウェイをお持ちの方との会話の中で「尊敬してやまない調律師さんがいて、荒木さんという方なのですが・・・」と。いろんなところで名前を耳にすることが重なった荒木さん。

それで、検索していってみたら、10年くらい前にお世話になって一緒にランチした方だ!と結びつき、この巡り合わせも不思議なものだと感じながら、ブログを拝見してコンタクト取ってみたのです。

工房見学にいったら、ちょうどYAMAHA C5のオーバーホール終えたばかりのピアノが置いてありました。それが私の鍵盤黄ばんで嫌になっていた曰く付きの1985年製のものと同じ頃のもの!(※当時のピアノは象牙風、黒檀調というつくりを試みていた頃だったのか、鍵盤の経年劣化がひどかったのです。途中リコール的な感じで鍵盤張り替えなどのメーカーメンテナンス行われていたようですが、私はその頃ウィーンにいたのか、情報知らずで放置でした)

そのオーバーホール済みのピアノも私の持ってる悩みと同じものを抱えていたと聞いたのですが、目の前にあるのは本当に美しいピアノ。

鍵盤ってやはりピアノの顔だなと感じたのはその時でした。吸い込まれるような美しい白鍵と、黒檀の黒鍵(黒檀調ではないですよ。笑)

そして実際に弾かせて頂いて、もう心は決まりました。

荒木さんに、私が小学五年生のときに買ってもらったYAMAHA(1985年製)と、母の代から、そして私がピアノを始めた頃から使ってきたKAWAI(1972年製)のピアノのオーバーホールをお願いしようと。

オーバーホールというとやはり大きなお金が動きます。そのお金が生きるかどうかというのはお話聞くだけでは、やはり踏み切れないのです。なにせ、手元にあるピアノはガタガタなので、、、そのピアノが蘇るというのがなかなか想像しにくいのです。そして、これだけの大きな物を良い状態へと導いてくださるには確かな技術とセンスが必要だと私は思っています。(調律も演奏も最後に特別なものを届けるのはセンスだと思っています。)

「センス」という感覚的なことは実際に触れてみないことにはわかりません。

だから、この時オーバーホールについて漠然と悩んでいたとき、目の前に私のピアノと同じ時代のものが出来上がってそこに存在したのは、もう運命としかいいようがないなと私は当時を振り返って思っています。

ピアノ弾きにとって調律師さんの存在は日常の練習の中で音楽的感性を、そして技術を磨いていく上で非常に重要です。

生徒さん方にもそういう意識が伝わるようにお話ししています。その大切さを受け取られた方には、やはり信頼できる調律師さんをご紹介致します。

KAWAIの方は今から4年前に、そしてYAMAHAは昨年オーバーホールして頂きました。

私が生まれた時から家にあったKAWAI、赤ちゃんの頃から慣れ親しんだピアノ、そして5年生で引っ越すときにはじめて「私のために」と買ってもらったピアノ。どちらも思い出がいっぱいつまったピアノでした。そのピアノを蘇らせてくれて、そしていつも心こめて面倒見てくださる荒木さんに心から感謝しています。

オーバーホールのときの荒木さんのブログをリンクで貼りますので、興味ある方はぜひご覧ください。そのほかにも、いろいろな珍しいピアノ取り扱ってらっしゃるので楽しいブログです。

KAWAI KG5オーバーホール

KAWAI KG5オーバーホール.2

KAWAI KG5オーバーホール納品

YAMAHA C5のオーバーホール納品

木曜日に二台調律いただき、硬かった鍵盤も気持ちよく動き、響きもふわっと包み込まれるような、そして奥行き感じられるものに蘇り、この三連休はじっくりピアノと過ごします。

次回は私にとってのベーゼンドルファーについて書きたいと思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です